『キッド』ジョン・タートルトーブ監督来日舞台挨拶
 2000年7月31日(月)丸の内ルーブルにて

●出席者:ジョン・タートルトーブ監督、小雪(ゲスト・女優)
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【挨拶】

■ジョン・タートルトーブ: 今日は、皆さん大変お忙しいところ、映画を観に来てくれてありがとうございます。ここにいらした大抵の方々は、映画ではなく、私を観に来てくださったということは十分承知していますけれども(会場笑い)、みなさん、今日はありがとうございます。残念ですけれども、皆さまは、舞台挨拶が終わった後、映画のほうを残って観てくださらなければならないんですけれども、とりあえず観ていってください。そして、また、公開になった時も、皆さんは映画を観てくださるということはわかっていますので、3度も4度も観ていただきたいと思います。で、どうして皆さんは、コーラとか、ポップコーンだとか、キャンディとか持って来てないんでしょう……。(会場笑い)

【質疑応答】

◆質問: 監督ご自身の8歳の頃の夢を教えてください。

■(ジョン・タートルトーブ): 子供の頃は、大きくなったら、自分の家の裏に大きな湖があって、そこにイルカとシャチを飼って、それから、ペットとしてライオンを飼ってみたいと思ってました。そして、両親はもとより、自分の友人たちとも、自分で家で一緒に住みたいと思っていました。それから、とりあえず結婚はしたいと思っていました。仕事に関しては、アメフトの選手か映画のスタントマンになりたかったです。今となっては、どうしてそんなふうに思っていたのかわかりませんが。

●司会者: 因みに、監督、凄く背が高いですよね。どの位あるんですか?

■(ジョン・タートルトーブ): 日本では高いかもしれませんが、アメリカではそうでもないんですよ。183、4くらいですよ。

●司会者: やはり大きいですね。監督は、子供の頃の夢が何か叶っていたりするんですか? 動物を飼ってらっしゃるとか。

■(ジョン・タートルトーブ): 実際に、ショービジネスの仕事もしたいと思っておりましたので、その辺は叶ったと思います。また、世界各国を、自分が旅費を払うのではなく、他の方に払っていただいて、いろんな国に行けたらと思っていましたので、そういう意味でも、日本に来てますので叶ったと思います。

◆質問: 今回、ブルース・ウィリスを起用したきっかけが、何かあれば教えてください。


■(ジョン・タートルトーブ): まず、彼は大物スターということで、今回、この映画を成功に導いてくれるのではという期待もありました。それから、私と脚本家と話し合いをしまして、ブルース・ウィリスは、今回の役にピッタリではと思ったんです。ラスという男性は、とてもハンサムな男ですし、それから、カリスマ性もあるし、ルックスもいいし、そして、まだ、皆さんは観てないので、あまり話はできませんが、ちょっとはじめは、彼は、嫌な男で意地の悪い所もあったりするんですが、観ている観客からすると、でも、どうしても彼を嫌いになれない、何かきっといいところがあるんだろうなという要素が結びつく俳優さんとしても、今回、彼を起用しました。

◆質問: 『あなたが寝てる間に……』とか、『クール・ランニング』とか、『フェノミナン』とか、温かい映画をよく作っています。それは監督のテーマなのでしょうか?

■(ジョン・タートルトーブ): もちろん、映画にはテーマがあります。だからといって、いつも映画を作る際に、何かしら、今回はこれをテーマにしようというふうにして映画を作っているわけではありません。私も、自分の内面にいろいろな要素を持っていますが、脚本を読んで、自分にもそういう要素があると気付いて、それを引き出して作品に反映させるというやり方をしています。たとえば、マーチン・スコセッシのような監督の場合、何かしら、テーマ性、メッセージを持って映画を作っているということではなく、多分、彼なりの個性というものが、映画を作っていて反映してくるものなんだと思います。私は、できるだけ人間のいい部分を引き出そうと心がけて、いつも映画を撮っています。ごくごく普通の人が、映画の中で少しでも素晴らしいことをすると、それが発展してくるものだと思いますし、皆さんが、私の映画をご覧になった時に、何かしら心が温かくなって、少しでも世の中がより良い世の中になっていけばいいなぁと思いますし、私の映画を観た時に、皆さん、イスを蹴っ飛ばすとか、そういう寂しいことをしてほしくないと思います。

◆質問: 子役の方は、今回がデビュー作ということですが、彼を起用された理由と、撮影中のエピソードをお教えください。


■(ジョン・タートルトーブ): 彼は、TVのコマーシャルとかで活躍していたんですが、今回、映画は初めてで、素晴らしい演技をしてくれました。皆さんにこれから観ていただくわけですが、観ていただければ、彼の良さをきっとわかってくれるはずです。この映画の中では、彼は演技をしているというよりも、普段の彼らしさを凄く出している。本当に、彼そのものなんです。ハリウッドには、いかにもハリウッドの子役さんという感じの子が多いのですが、彼は、いい意味で変わった子で、あまりハリウッドの世界に毒されていない、純真無垢な男の子なんです。そして、撮影中は、毎日エピソードがありましたが、ある時、彼と話をしていた時に、「ところで、ブルース・ウィリスは、君が40歳になった時の役をやっているんだけれども、彼は結婚してもいいのかな」って聞いてみたんです。すると彼は、「そりゃそうだよ、カッコ良いんだから結婚していて当たり前なんじゃない」という答えが返ってきました。まだまだいろいろエピソードはありますが……。

●司会者: ここで、ゲストの方をお呼びしたいと思います。女優として活躍中の小雪さんです。

●司会者: 小雪さんは、もう『キッド』はご覧になったんですよね。いかがでした?

■(小雪): あのね、凄くストーリー自体にスピード感があって、カット割りも凄く多いし、何よりすぐひきこまれたんですね。何より子役の彼が存在感が凄く強くて、彼に釘付けでした。あと、お話のストーリーも、本当に心が温かくなるようなそんな映画で、優しい気持ちになれる気がしました。

●司会者: それでは、最後に監督の魅力は?

■(小雪): まだ、会ったばかりでわからないんですけど、凄く気さくな方で、興味深い方ですね。

■(ジョン・タートルトーブ): イエス、イエス。

●司会者: それではありがとうございました。小雪さん、そして、ジョン・タートルトーブ監督でした。


『キッド』は、2000年9月中旬より丸の内ピカデリー1ほか(全国松竹・東急系)にて公開。