TOM CRUISE 『M:i:III』





M:i-3 ミッション:インポッシブル3 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
7月8日より日劇1他全国超拡大ロードショー
(6月24日・25日、7月1日・2日特別先行上映)


2006年度作品/パラマウント映画提供/クルーズ/ワグナー・プロダクション/博報堂DYメディアパートナーズ提供/UIP配給/シネマスコープ/DTS/SRD/SDDS/SR/8巻/11,310 ft:3,447m/上映時間:126分/翻訳:戸田奈津子/サントラ:ジェネオン エンタテインメント/ランブリング・レコーズ

◇監督:J.J. エイブラムス ◇製作:トム・クルーズ、ポーラ・ワグナー ◇脚本:アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、J.J. エイブラムス ◇TVシリーズ創作:ブルース・ゲラー ◇製作総指揮:ストラットン・レオポルド ◇撮影:ダン・ミンデル ◇プロダクション・デザイナー:スコット・チャンブリス ◇編集:マリアン・ブランドン,A.C.E. 、メアリー・ジョー・マーキー,A.C.E. ◇衣装:コリーン・アトウッド ◇音楽スーパーバイザー:ダニー・ブラムソン ◇音楽:マイケル・ジアッキノ ◇視覚効果スーパーバイザー:ロジャー・ガイエット

◇キャスト:トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ヴィング・レイムス、ビリー・クラダップ、ミシェル・モナハン、ジョナサン・リース=マイヤーズ、ケリー・ラッセル、マギー・Q、サイモン・ペッグ、ローレンス・フィッシュバーン



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【解説】

全世界で10億239万7,395ドル(約1,200億円)の興行収入を記録した『ミッション:インポッシブル』シリーズの待望の第3弾、『M:i:III』で、トム・クルーズは自身の象徴ともいうべきシークレット・エージェント=イーサン・ハントとして6年ぶりにスクリーンに帰ってきた。

“M:I”シリーズは、不可能なミッションに挑むエージェントたちの挑戦を、1作ごとに独立したストーリーとアプローチで描くスパイ・サスペンスの超大作である。これまで前2作はブライアン・デ・パルマ、ジョン・ウーという巨匠が手がけたが、最新作では一転し、「エイリアス」「LOST」の2大TVシリーズでエミー賞を獲得し、今全米で最高のストーリー・テラーとして注目を集める大型新人のJ.J.エイブラムスを起用。彼は“M:I”シリーズにかつてないリアリティを盛り込み、緊張感の連続に包まれた息もつかせぬドラマを用意した。魅力的かつ複雑なプロットを手際よく見せて行き、それを誰も想像のつかない意外な結末に落とし込んでゆくその手腕に、早くもシリーズ最高傑作の声があがっている。

そして、最高傑作と呼ばれるにふさわしく、トム・クルーズ扮するイーサン・ハントにとって最強の敵が今回の作品では用意された。今年度のアカデミー賞主演男優賞に輝いたフィリップ・シーモア・ホフマン扮する国際的な武器と情報のブローカーであるオーウェン・デイヴィアンだ。知力や体力でイーサンと伍するばかりか、人間的な良心とは全く無縁で、他人の苦しみや涙する姿を糧としているかのような超絶のキャラクターである。悪意がヒトという衣をかぶったとも言うべきこの存在を前にして、イーサンはかつて経験したことのない過酷な状況に追い込まれてしまう。

さらに、このシリーズの代名詞とも言うべきチーム・プレイには今回もたっぷりと見せ場が用意されている。オリジナルのTVシリーズの最大の魅力である知力と洞察力、熟練の技と経験、そして新たな技術やガジェット ─ 凝縮されたタイム・サスペンスのエッセンスはそのままに、今回はイーサンを中心としたIMFの精鋭チームはこれまでにない派手なアクションも見せる。事件の端緒となったベルリン、オーウェンと初遭遇となるローマ、急展開を見せるヴァージニアから上海と、イーサンのチームは限られた時間の中で世界を股にかける。

イーサン・ハント(トム・クルーズ)の新たなミッションは、スパイを引退し教官になった彼が、自らの教え子、リンジー(ケリー・ラッセル)の危機に再び立ち上がることから始まる。しかし、事態はイーサンの予想を遥かに超えるものになってゆく。謎めいた暗号名「ラビットフット」とは何か? その「ラビットフット」の正体を知る強大な敵、オーウェン・デイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)の出現。そしてこのミッションはイーサンの本当の姿を知らないフィアンセ(ミシェル・モナハン)の命を危険にさらし、イーサン自身もかつて経験したことのない絶体絶命のピンチに陥っていく……。果たして彼はタイムリミットが迫る中、IMFの仲間(ヴィング・レイムス、ジョナサン・リース=マイヤーズ、マギー・Q)と共に世界を駆け巡り、不可能なミッションを遂行できるのだろうか?

主演は、20年以上に及びハリウッドのトップに君臨するトップ・スターであり名プロデューサーのトム・クルーズ。IMFのチーム・メンバーには、クルーズを除いて唯一全作出演、多彩なメカを手足のごとく使いこなすルーサーにヴィング・レイムス、車や船から、ヘリや飛行機まであらゆる乗り物を自在に操縦するクールなエキスパート、デクランを演じるのは『アレキサンダー』のジョナサン・リース=マイヤーズ、最新の兵器に精通している女性エージェント、ゼーン役に『ラッシュ・アワー2』のマギー・Q、コンピューターを使って世界中の情報を瞬時に把握する天才エンジニア、ベンジーには『ショーン・オブ・ザ・デッド』のサイモン・ペッグ、イーサンの教え子であるIMFの女性エージェント、リンジーには『ワンス・アンド・フォーエバー』のケリー・ラッセルが扮している。さらにIMFの本部でイーサン率いるチームを統括する上官、ブラッセルには『マトリックス』シリーズのローレンス・フィッシュバーン、その補佐官、マスグレイブには『ビッグ・フィッシュ』のビリー・クラダップが演じている。これらIMFの精鋭陣に加えて、イーサンの最愛の存在であるジュリアには『Mr. & Mrs.スミス』のミシェル・モナハン、そしてシリーズ最強の悪役、冷酷無比なオーウェン・デイヴィアンにはアカデミー俳優となった名優フィリップ・シーモア・ホフマンが扮している。また、“U2”“リンプ・ビズキット”に続いてサントラを手がける注目のヒップホップ・アーティスト“カニエ・ウエスト”による、ラロ・シフリンのテーマ曲のアレンジも話題となっている。

昨秋、ローマで始まった100日間の撮影は本年2月にクランクアップした。5月上旬には全米を始め、世界各国での一斉公開を迎える『M:i:III』は、『ミッション:インポッシブル』のサスペンス+『M:i-2』のアクションを融合させた、シリーズの集大成であり、そして究極の“ミッション:インポッシブル”である。



 


【プロダクションノート】

◆誰も知らなかったイーサン・ハント

プロデューサーのポーラ・ワグナーが語る。「トム・クルーズと監督のJ.J.エイブラムスは、息を呑むアクションとサスペンスに満ちたこのシリーズで、観客をさらに惹きつけるためにユーモアとドラマ、そして、すばらしい登場人物たちを組み合わせました」。

エイブラムスは、『ミッション:インポッシブル』シリーズに、新しいヴィジョンを吹き込むチャンスに即答した。「トムから監督の話があった時、私は、彼が次の言葉を発する前に、すでに“イエス”と答えていました」とエイブラムスは語る。「このシリーズは、脚本家や監督にとって最大のチャンスです。特にトムのような人物、それにこのキャストたちが一緒だったら、それは、とてもキャラクターに富んだ人物描写ができる映画を作る絶好の機会となるからです。最初から、トムとは、これまでになく内面的なストーリーを強調しようと話していました。“M:I”シリーズと言えば、観客は、極限状況に、一大アクション、目を見張るスタントを期待するでしょう。我々はさらにそこに、ラブ・ストーリーや友情といった私的な部分を組み合わせようと試みたのです」。

そのため、エイブラムスは、イーサン・ハントという人物について言及されていなかった部分の考察に腐心したという。「シークレット・エージェントとしてのイーサン・ハントと一人の男としてのイーサン・ハントは両立しますか?」とエイブラムスは語る。「我々が採ったアプローチは、シークレット・エージェントについての映画を作るのではなく、そういう職業を生業としている男の物語を伝えることでした。言葉遊びをしているように聞こえるかもしれませんが、そういうアプローチをすることで疑問が生じ、共感を呼び、かつ感情に訴える魅力的な答えが導き出せるのです」。

『M:i:III』の脚本をエイブラムスと共同執筆したアレックス・カーツマン、ロベルト・オーチーの2人は、イーサン・ハントの心の動きを描くべく話し合いを重ねたという。エイブラムスは語る。「トムと私たちは、キャラクターをきっちり描きたいと思っていました。ふんだんなアクションやサスペンスを見せることはもちろん、スパイについての映画というのは、ストーリー上、世界の各地で起こる出来事に対してリアリティが要求される一方で、真実の感情を描かなくてはならないと。そうした映画の登場人物たちが辛さや恐怖、スリルや時には楽しい瞬間を感じていることを描くことで、観客はこうした映画を観る時にも俳優たちが演じる役にリアリティを感じることができるのです。この点を、『M:i:III』に取り入れたいと思いました」。

「多くの人が、日常生活で直面する大きなチャレンジは、家庭と仕事のバランスをどうやってとるかだと思います」とクルーズが語る。「家族と一緒に過ごしながら、どうやって自分の仕事に取り組むか? 映画では、こうした日常的な課題を究極のレベルまでひき上げました。つまり、イーサンは、この2つの世界のバランスをとる必要があるだけでなく、エージェントであるため、彼の家庭生活は直接影響を受けます。我々は現実的な問題からスタートした上で、究極の問題を投げかけたのです」。

こうした視点から、映画の製作者たちは、イーサン・ハントのために新しい生活を作りだした。ストーリーの初めでは、ハントは最前線での仕事から退いている。彼は、IMFの新人スパイの教育に当たっている。だから彼は、結婚を含む人生の新しい可能性を見出しているのだ。

「この映画では、観客は、ドラマティックな瞬間に直面したイーサンを見ることになります」。イーサンの恋人となるジュリアを演じるミシェル・モナハンが語る。「彼は本当に恋をし、それを永遠に続けたいと思います。ジュリアは彼と恋に落ちますが、彼がどんな仕事をしているか、正確には知りません。ストーリーが進み、彼が悩んでいる姿を見て、何か秘密があるのではないかと思うようになります。でも、彼から“信じてくれ”と言われ、彼女はその言葉を信じるのです」。

モナハンは、『Mr. & Mrs.スミス』、『キスキス・バンバン』、TVの「ボストン・パブリック」で印象的な演技を見せた後に、これまでで最大の役柄であるこの役に挑んだ。モナハンは自分の役は、イーサンをこれまでとは別の視点で見られるようにする働きがあるという。「この映画では彼の弱い面が見られます。これまで以上のサスペンスやアクションもありますが、観客は彼のことを以前とはまったく違う人物として見ることになります」。

エイブラムスによれば、こうした多面的なストーリーは、実際のトム・クルーズのキャラクターとぴったりマッチするという。「撮影の前に、キャメロン・クロウから、トムはとても集中力があり、プロの俳優で真剣に仕事をする人なので、君はこれからの撮影ではとても楽な思いをしてしまうと言われましたが、それはまさに本当でした」とエイブラムスは語った。



◆チームのキャラクター造形

深く描きこまれたのはイーサン・ハントだけではない。ポーラ・ワグナーは語る。「この『M:i:III』が前2作と違うのは、IMFのメンバーの人間関係を詳しく描いているところです。イーサン・ハントとルーサー・スティッケルはすでに何年も同じチームで仕事をしています。彼らは仕事の上だけではない固い友情で結ばれていることを、この映画は描きます。俳優であるトムとヴィングは絶妙なユーモアを交えながら、J.J.は見事な手腕でこの点をストーリーに織り込んでいます」。

コンピューターをはじめ、あらゆるメカのエキスパート、ルーサー・スティッケルとして再び登場するヴィング・レイムスによれば、この映画の見所の一つが深く描きこまれたルーサーとイーサンの関係だという。「前2作では、2人は私的な生活に関しては一言も話しませんでした。しかし、この2人は同僚であり、友人です。今回彼らは友達同士が話すようなことを話題にします。これは、J.J.のアイディアです。彼はこの2人を普通の人間として描いたのです」。

チームの輸送面のエキスパート、デクランを演じるのはジョナサン・リース=マイヤーズ。デクランは、飛行機、車、船、グライダー、ヘリコプター、バイクなどあらゆる乗り物に精通している。「彼は自分の経験に基づいて動くキャラクターで、少しばかりエキセントリックなアイルランド人です。IMFの新世代の一人で、イーサンに仕込まれていますが、イーサン好みの危険な臭いを持つ男でもあるのです。さらに、ある時は、イタリア人の配達人、次の瞬間には、おかしなアメリカ人観光客、そして、次にはヴァチカンの警備員になりすますカメレオン的な人物でもあるのです」と、ウディ・アレンの“Match Point”の演技が絶賛されたリース=マイヤーズは語っている。

香港映画で活躍していたマギー・Qは、出演のオファーを受けたときのことをこう語った。「香港に8年住んでいて、アメリカ映画に再び出るなんてまったく思っていませんでした。それが、あのハリウッド映画のしかも、トム・クルーズの大作映画です。あらゆるもののスケールが、香港映画とは比べ物になりません。本当のカルチャー・ショックを受けています」。さらにマギーは役柄を説明する。「ゼーンはとてもタフで、強い女性です。言葉よりも行動の人です。イーサンは作戦の表看板であり、彼女は、万事上手くいくように取り計らうチームの一員で、舞台裏で動きます」。そして、役作りのため、マギーは筋力トレーニングや、マーシャル・アーツとボクシングの練習もしたという。「アクションのシークエンスでは、特定の戦い方ではなく、さまざまな種類の戦いを要求されることが多いからです」。

ジャッキー・チェンなどアジアのマーシャル・アーツのスターたちを数多く見てきたマギーでさえも、トム・クルーズのスタントをすべて自分で行うという強い意思には感銘したという。「ジャッキーは子供の時からカンフー学校に通い、サーカスにいたこともあるタフな人で、皆に尊敬されています。トムも同様に、演技をしている時だけでなく、いつでもエネルギーにあふれているから、尊敬されているのです」。

以前に、エイブラムスの初のTVシリーズ、“フェリシティの青春”に出演したケリー・ラッセルは、高いレベルのスキルと能力を持った新人エージェント、リンジー・ファリス役に扮している。

「ケリーは間違いなく最高です」。エイブラムスが語る。「彼女とは、しばらく仕事をしていなかったので、今回のチャンスは嬉しく、刺激的です。彼女はこういうタイプの映画に出演したことはなかったのですが、銃を使ったり、スタントを見ていると、出来ないことは何もないとさえ思ってしまいます。トムは、一連のアクションやスタントのこつ、さらに自信を持つことが重要なことを彼女に教えてくれました」。

映画の中で、ラッセルは、イーサン相手に棒術の練習をする。「トレーニングはとても楽しかったんです。スタントの人たちと4カ月半ほどボクシングや棒術のトレーニングをしましたが、彼らは皆すばらしい運動選手で、とてもクールでした」。

ローレンス・フィッシュバーンにとって、『M:i:III』のキャストの一員となることは、子供のときに見た夢の実現だった。「子供のころ、あの番組を見るために、家へ走って帰りました。みんなで“スパイ大作戦”遊びをして、スパイになり、ガジェットを使い、クールな音楽を歌ったりしていました。今や、私がそのボスです。フェルプス君の上司です。私が指令を送る役です。そんな役を見逃せる人なんているでしょうか?」



◆最強の敵はこうして生まれた

脚本チームは、イーサン・ハントのようなヒーローに匹敵する悪役作りに特別の力を注いだ。「ハントが、オーウェン・デイヴィアンのような恐ろしく、頭脳明晰で、謎の多い敵に対峙するのは初めてのことです」とエイブラムスは語る。このキャラクターについて、アカデミー賞を受賞したばかりのフィリップ・シーモア・ホフマンは、次のように説明する。「この手の取引では、例えば良い警官と悪い警官がいます。デイヴィアンは悪い警官のようなもので、汚い仕事を処理します」。

「フィリップは、いつでも役柄を自分のものにしてしまいます。彼は人が予期しないような演技を見せるので、彼が演じる人物はいつでも変化に富んでいます」と言うのはホフマンと渡り合ったクルーズ。「イーサン・ハントとしてこの男と対決する時は、恐ろしささえ感じました。なぜなら、フィリップはデイヴィアンを自由に操れるので、役の上とはいえ、デイヴィアンはどんなことでも出来てしまうのです。自分がイーサンを演じて、これほど冷酷で恐ろしい悪人に会ったのは初めてのことです」。

ホフマンにとって、デイヴィアンは取り組み甲斐のある役だったという。「彼は単なる悪役ではなく、一種の精神病質者です。彼がいることで、観客はイーサンに対して信じられないほどの共感を覚えます。なぜなら、ヒーローに対しこの男が暗く、邪悪な対応をすればするほど、観客はヒーローにこの男を倒してほしいと強く思うからです」。

さらに『M:i:III』はホフマンにとって、新しいチャレンジでもあった。「私は、今まで一度もアクション映画に出演したことがありませんでしたが、以前からやりたいジャンルでもありました。J.J.のことは何年も前から知っていましたし、トムとは、以前に『マグノリア』で共演しています。この脚本を読んで、私にはとても魅力的な3つの要素がありました。トム、J.J.、そして脚本です。こうした要素が、このタイプの作品に出演するという挑戦を、後押ししてくれました」。ホフマンによれば、デイヴィアンは『M:i:III』のストーリーの中心的となる緊張感を生み出すために重要な役を果たしている。「イーサンとジュリアは結婚して、多くの不安を抱えています。それは、これから起きるかもしれないことに対しての恐怖が原因です。わたしはこの人を失うことになるのか? 一緒になれば、自分を見失うだろうか? 究極のレベルで、2人は、日常生活で普通の人が結婚をためらう理由と同じことを経験します。私の役はそれを象徴しているのです。それは、人々に結婚という建設的な約束を阻む、悪夢の具体化でもあるのです」。



◆最高のスタントを生み出すために

アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、エイブラムスから成る脚本家チームは、ハントが活躍するさまざまな新しいシークエンスを作り上げたが、これは、監督でもあるエイブラムスには微妙な状況だった。「アクション・シークエンスを書く時には、“こんなシーンは書かないほうがいいな。トムは自分でスタントをやりたいと言い出すから”と思いますが、結局、当然ながら、脚本家としては出来る限り最高のものを書いてしまいます。最高の映画を作るために、トムほどすべてを賭ける俳優兼プロデューサーと仕事をすることは、とても刺激的なのです」。

伝説的なアクション監督のヴィク・アームストロングは、『宇宙戦争』でトム・クルーズと組んだ経験のおかげで、俳優兼プロデューサーのクルーズがスタントを自分でやることはわかっていた。「彼は100%実戦する人で、これは理想的です。彼には、それだけすばらしい能力があります。彼と以前に仕事をした経験は、今回大いに役立ちました。私は、彼自らがやることを想定してスタントを考えました。その予想を越えて、トムは驚くべきスタントをいくつもやり遂げました」。

エイブラムスにとって、クルーズができるだけ多くのスタントを自身で演じることは、不可欠だった。「最新のCG技術はすばらしいものです。でも、スタントマンの顔を取り替える作業に頼らず、俳優が実際にできるならば、それほど良いことはありません」。

「私にとっては、スタントは映画作りというチャレンジの一部なんです」とクルーズは語る。「計算の出来ない、無謀なリスクを冒すことはできません。でも、トレーニングをして、映画に本物らしさを与えるスタントができれば、観客を本当に興奮させることが出来るのです」。

今回の代表的なスタントの一つに、チェサピーク・ベイ・ブリッジのシークエンスがある。アームストロングは語る。「イーサンは橋の上の4.5メートルの割れ目を飛び越えなければなりません。彼は何とか飛び移り、かろうじて指先で端にしがみつきます。飛び移った拍子に、反対側に強く打ちつけられます。あれほどの距離を飛んだら、その衝撃がどうなるかは誰でもわかります」。

『M:i:III』のスタントに備えるため、クルーズは何カ月もトレーニングを積んだ。「『宇宙戦争』のキャンペーン時に、私はツアーに出ながら、毎日トレーニングを欠かしませんでした。午前中にウォームアップして、その後で“ダイナミック・ムーブメント”を練習しました」。ロック・クライミングをする人がよく使うこの技は、バランスをとるよりもむしろ、勢いによる動きを重視する。こうした動きは勢いが大事なため、強い力を必要とするが、重心を効率よく移動させることで、直立した姿勢から動くより、遥か遠くへ移動できる。「私が目指したのは、あらゆる出来事が同時に起こっている状態でした」とクルーズが続ける。「そのために、私にはこうしたダイナミックな力が必要だったのです。その爆発的なスピードによって、アクション要素とストーリーが絡み合い、理想的なシーンとなるのです」。

このシーンでのもう一つの印象的なスタントは、止まっている車が爆発した衝撃で、クルーズが橋の上で浮き上がり、吹き飛ばされ、別の車に激突するというものである。「彼が激しくぶつかるので、車のリア・ウィンドウが割れます」アームストロングが語る。「我々は、装置をコントロールして、爆発と同時に、彼を別の車の側面に体当たりさせました。彼は水平に宙を飛び、車にひどくぶつかり、その衝撃で車のドアがへこむほどでした」。

しかし、クルーズはいつもと同じ態度だ。「あのスタントは、フットボールの攻撃側のワイドレシーバーがフィールドの中央でプレーするようなものです。守備側のラインバッカーが思い切り体当たりにくることは覚悟の上です。あのシーンは、観客を絶対に興奮させたいと思いました。その瞬間、観客にイーサンの衝撃を伝えたかったのです。そのためにはリアルでないとダメでした」。

『M:i:III』のもう一つのドラマティックなスタントは、24mのビルからのジャンプである。「トムはジャンプし、そして、15mほど落下します」アームストロングが語る。「トムがこのスタントをやることは必須条件でした。単にジャンプして落ちるだけでなく、トムがイーサン役として落下する演技を見せる必要があったからです。このスタントは、単に目を閉じてバンジー・ジャンプをする勇気があればいいというものではないのです。これは、役者がやったスタントとして、見たことがないほどすばらしく、勇気あるスタントの一つです」。上海の高層ビルからの劇的なジャンプで、イーサン・ハントは最初のビルの屋上から別のビルへと飛び移る。「高層ビルから飛び降りたあと、トムは振り子現象によって、別の方向に激しく揺さぶられます」。

アームストロングはさらに続ける。「さらにパラグライダーを使って落下するシーンで、彼は街灯柱にさかさまにひっかかり、そこから降りると、混雑した道路で猛スピードの車が突進してきます。このスタントでは、道路に横たわったトムが、全長12メートルのトレーラートラックに轢かれそうになるのです。シリンダーが1本でも折れたりすれば、トラックはまっすぐになり、トムを潰してしまいます。テストのために、私は一度、トムと同じ位置で横になりましたが、トレーラーが頭上ぎりぎりを通りすぎるのは、とても怖い経験でした。本番では、私はカメラが設置された高台にいましたが、トラックがトムに向かって進み、車体が横を向いてトムを跨ぎ越すまでにものすごく長い時間がかかったような気がしました。私がどんな気持ちで見ていたか、想像してみてください」。

「トム・クルーズはこの映画で、複雑で見事なスタントをいくつもこなして、ハードルを上げました。彼は俳優で、プロデューサーであるというだけでなく、スタントマンでもあるのです。彼はとても几帳面な人なので、自分のやっていることを完全に掌握しているのですが、プロデューサーとして、トムがトラックに轢かれるところを見ていると、ちょっと神経がすり減ります」と語るのはポーラ・ワグナーである。

エイブラムスもこう語った。「トムが落下し、コンクリートの地面まで45センチの地点で止まるというスタントで、私はトム・クルーズを使うことに無頓着になっていました。彼のことはすべて私の責任でした。彼はクレーンから吊るされ、猛スピードで落下し、地面すれすれで止まるんです。“恐怖を感じていた状態に戻るべきだ”と思ったのを覚えています」。

ジャンプ、激突、落下、殴り合い、衝突などのスタントを繰り返し毎日演じたトムは、肋骨が左右3本ずつ6本折れるアクシデントにもあっている。



◆シリーズ最大スケールのロケーションを敢行

『M:i:III』は、スパイ・サスペンス映画の伝統に則り、異国情緒あふれる国際的なロケーションを長期に渡って行った。しかし、こうしたロケーションは、ストーリーをより膨らませるために慎重に選び抜いたものである。エイブラムスによれば、「それは観客に紀行映画を見せるためにしたことではない。我々が選んだ場所は、どこも、ストーリーにとって重要な意味があります」ということだ。

「フェリシティの青春」「エイリアス」でもプロダクション・デザイナーを努めたスコット・チャンブリスが語る。「登場人物に質感とリアリティを持たせたいのと同様に、監督は、ロケ地にも同様のリアリティが必要で、しかも企画に見合う壮大なスケールも欠かせないと考えたのです」。

それを実現するために用意された舞台が、ヴァチカンの巨大な宮殿のシークエンス、上海での巨大なビル屋上のシークエンス、ベルリンでの巨大な工場のシークエンスだ。ストーリーのすべてのアクションの規模は、エイブラムスのコンセプトに基づいたものである。

撮影はローマでスタートした。最初のスリリングなアクション・シークエンスは、ローマ市内を流れるテヴェレ川で撮影された。公共の場所での撮影は、市民の大変な興奮を引き起こし、パパラッチや見物人が川を見下ろす土手や橋の上を埋め尽くしたのである。トム・クルーズとヴィング・レイムス、ジョナサン・リース=マイヤーズ、それにマギー・QというIMFのチームの面々は、ヴァチカン宮殿を背景として、高速のモーターボートに乗りこんだ。

ジョナサン・リース=マイヤーズによれば、「我々がモーターボートを飛ばしているとき、突然、何かが聞こえてきました。それは「スパイ大作戦」のテーマでした。トムが実際に口ずさんでいたんです。彼は、金曜の夜に、ポップコーンとアイスクリームを手に、あのTV番組を見ていた子供の感性を持っているんです。彼は、いまだにあのTV番組のマジックを信じているんです」。

ローマのあと、撮影隊は、ヴァチカン宮殿の代わりとなる、ナポリ郊外にあるパラゾ・リアレ・デラ・レギア・ディ・カセルタという要塞へ移動し、この場所をヴァチカンの中庭に変身させた。その指揮をとったチャンブリスは語る。「そのシーンは、300人のパーティが大きな広間で開かれるというものでしたが、巨大な建築物のなかで埋もれないようなテクスチャーとパンチのあるものにしなければなりませんでした。ヴァチカンの儀式に関しては、我々は、公的なものと私的なものとを問わず数多くリサーチしました。その結果、儀式には決まった色の配合が一つもないことがわかったので、巨大なローマ教皇のバナーを考案しました」。

そこから、撮影隊は中国の上海へ移動した。最初から、エイブラムスは極東でのシークエンスを考えていた。日本でロケハンをした後、映画製作者たちは中国へ向かい、世界のどの地域にもないような場所を上海で見出した。中国でのロケ撮影は、チャイナ・フィルム・コープロダクション・コーポレーションとザ・フォース・プロダクション・カンパニー・チャイナ・フィルム・グループ・コーポレーションの協力のもとで製作された。

「上海は未来派のSF都市です」エイブラムスが語る。「そこは同時に、都市を拡大することの本当の代償が何かを示してもいます。古い地域は、巨大なオフィス・ビルを建てるために破壊されつつあります。そこでは、旧式のものが、真新しい次世代のものと混在しているのです。」チャンブリスはこう語る。「上海は驚きでした。多くの人たちが自分の産まれ育った土地から追い払われているのに、すばらしい楽観主義とエネルギーがあふれているのです。彼らは、そこが未来の都市であり、国であると考えているんだと思います」。

さらに撮影隊は、この混沌の都市、上海の近郊で、何百年も同じ生活を続けている多くの漁村があることを知った。「ロケーション・マネージャーと小道具のデザイナーが、上海の外にいくつかの町を見つけました。その中でも西塘(Xitang)は、アメリカ映画に登場するものとしては、とても珍しい街でした。あんな所は見たことがありません」とエイブラムスは語る。西塘は、上海から2時間ほどの距離にある。およそ1000年の歴史があり、700年前からの古いレストランもある。「西塘は、映画を包みこむ舞台です。古い町には情感があります。それを映画の感情的な部分での背景に使いたいと思いました」。

アメリカに戻っての撮影は、エイブラムスにとっては帰郷のようなものだった。イーサン・ハントの自宅を撮影するにあたり、エイブラムスはチャンブリスに、自分の家をモデルにしたセット作りを依頼したという。ミシェル・モナハンによれば、エイブラムスは、そのセットが自分の家にどれだけ似ているかについて心の準備ができていなかったようだ。「J.J.は怖気づいていたようでした」とモナハンは語る。「彼はその家を見ながら、“ここはうちのバスルームだ”と驚いていました。かなりおかしかったです」。



◆『M:I』のテーマは3度再生される

アイコン化しているラロ・シフリンによる『ミッション:インポッシブル』のテーマは、これから起こるアクションとサスペンスを観客に予感させる。『M:i:III』のために製作者たちは、馴染み深いこの音楽が培ってきた歴史を維持しながら、現代風にアレンジできるアーティストを探した。

その要求に最もフィットしたのがカニエ・ウエストだった。タイム誌により、“ポップ・ミュージックで一番スマートな人”と賞賛されたウエストは、グラミー賞を6回受賞した伝説の音楽プロデューサーであり、そして、マルチ・プラチナの売り上げを誇るレコーディング・アーティストでもある。彼の2枚のアルバム、「カレッジ・ドロップアウト」 と 「レイト・レジストレーション」は、ヒップホップの歴史を革新した。ウエストの起用により、1996年の『ミッション:インポッシブル』ではU2、そして、2000年の『M:i-2』では、リンプ・ビズキットという、画期的で革新的なアーティストがクラシックとなったテーマを演奏するというこのシリーズの伝統は維持されたのである。

「音楽を作る時は、視覚的に考えています」とウエストは語る。「今回は、映画のために新たに曲を提供する初めての機会ですが、私はいつでも自分の音楽を映像的に作ろうとしてきたのです」。

ウエストは、このアタックの効いた、低音を生かしたテーマ曲と、自分の曲作りのセンスがぴったり合っていると感じたのである。彼にとってこのテーマに取り組むことは、決して見逃せない独特のチャンスだったと冗談まじりに言う。「私に許可が下りたってこと? この音楽を使ってもいいの? 私はダークで旋律的な音楽が好きなんです。トムがこのテーマ曲についてこんなことを言いました。“このテーマが流れると、やっかいなことが起こりそうな感じがする”と。この音楽は、今から起こることにぴったりの雰囲気を作り出す力を持っているのです」。

ウエストは、また、ツイスタとケイシャ・コールをフィーチャーし、オリジナル・ソングの“インポッシブル”のレコーディングも手がけた。この曲は、映画のエンド・クレジットに流れる。



◆映画界とTV界を結ぶ新たな才能J.J. エイブラムス

画期的なTVシリーズ「エイリアス」と「LOST」を産み出したJ.J. エイブラムスは、『M:i:III』の共同脚本家および監督として、これまでのキャリアの中で最大のチャレンジをした。シリーズの前2作の監督はブライアン・デ・パルマとジョン・ウー。いずれも強烈な印象を残した後で、クルーズとワグナーはシリーズ第3作のために新しい才能を求めた。

「このシリーズを作ることは、毎回、まったく違う経験なのです」とクルーズが語る。「我々は、イーサン・ハントを毎回別の観点から描いているからです。だから何回演じても、イーサン・ハントの役は楽しんで演じられるのです。毎回違う監督の新しい視点を反映して、“ミッション”体験をしています」。

「J.J.はTV界の巨匠として、高い評価を得ていました」と語るのはポーラ・ワグナー。「でも、私はJ.J.を映画の脚本家として何年も知っていますし、彼の書いた脚本からは、常に監督としてのすばらしい視線が感じられました。トムと一緒に、彼が監督した「LOST」のパイロット版と「エイリアス」を見たとき、トムは、“これだよ。この人こそ、『M:i:III』を監督する人だ”と言いました」。

「J.J. のオフィスへ行った時、彼とはあらゆる面で即座に気持ちが通じました」。クルーズが語る。「J.J. の作品には、私が映画というジャンルで好きなものがすべて入っています。たとえば、キャラクターを深く描き込んだストーリーだとか、ひねりの効いたプロットや観客が予想もしないドンデン返しといったものです。彼にはまず、“このシリーズを、君だったらどうする?”と質問しました。この作品をJ.J. エイブラムスの“ミッション:インポッシブル”にしたいと思ったんです」。

エイブラムスは、ニューヨーク・タイムスによって“TV界で最高のフィーリングを持ったストーリーテラー”と賞賛されたように、視聴者や批評家から幅広く支持され、「LOST」で、監督賞とドラマティック・シリーズ賞の2つのエミー賞に輝いたばかりである。

エイブラムスのTVシリーズから、多くのスタッフが『M:i:III』に参加した。プロダクション・デザイナーのスコット・チャンブリスもその一人である。「J.J. と5年間一緒に、あのスピードで仕事をしてきたことは、この映画で彼と組むための良いトレーニングになったと思います。「エイリアス」では、行動しながら考え、すばやく決断を下すという毎日でした。そして、今回は映画であり、異例の大きなスケールの製作体制でした。その中で、多くの人が上手くコミュニケーションをとっていました。TV畑の人と大作映画のベテランたちとの組み合わせは見ているだけでもおもしろく、いろいろな新しいものを生み出しました。大作映画を、限られた枠の中で最大限に生かすやり方を考え出すことが出来たのです」。

それは、俳優陣にとっても同じだった。「J.J. なしでは、この映画は出来なかったと思います」とフィリップ・シーモア・ホフマンが語る。「監督は、作品にすばらしいユーモアをもたらしました。彼はとてつもなく聡明でシャープです。それに、彼は自分に自信があって、これは、『M:i:III』という船の舵を取る上で、欠かせないものでした。彼はとても確かな手腕を発揮し、私たちは彼を全面的に信じることが出来ました。彼は私たちを正確に導いたのです」。

ヴィング・レイムスは、エイブラムスの演出スタイルが、以前に自分が組んだことのある他の監督と似ていると感じたという。「J.J. はクエンティン・タランティーノを思い出させました。彼のそういうところは、俳優やスタッフの間に伝染し、撮影現場に若々しいエネルギーを与え、作品のパワーが増すのです」。



 


【キャスト&スタッフ】

■トム・クルーズ(イーサン・ハント/プロデューサー)

25年におよぶキャリアで、俳優そしてプロデューサーとして前例のない成功を収め、その間に、多くの印象的な演技を見せ、ハリウッドのトップスターとしての地位を確立した。アカデミー賞に3度ノミネートされている他、出演した映画の興行成績は全世界で75億ドル以上にのぼる。さらに、主演した中で13の作品が米国内の興行成績で1億ドル以上の興行収入を記録し、13作品(過去の連続6作品を含む)は全世界で2億ドル以上を稼いでいる。また、全世界で4億ドル以上の成績をあげた作品が5本ある唯一の俳優でもある。インターナショナル・モーション・ピクチャー・アルマナックのクィングリー調査(映画興行者に行われる毎年の調査、映画館で最高成績をあげた10人のスターを選ぶ)により2005年度の興行成績トップのスターに選出された。通算7回目の選出となり、1932年にこの調査が開始されて以来、最多受賞回数の俳優となったばかりか、クィングリーのトップ10リストには、18回も登場している。また、最近行われたイギリスのエンパイア・マガジンが行った読者調査でも、“史上最大のスター”に選ばれた。役者としての新たなチャレンジに挑む一方で、疲れを知らない親善の使節として世界的に認められ、世界にポジティブな変化をもたらすために、健康と教育、人権の分野において国際的な擁護者、活動家、慈善家として活躍している。

1962年、ニューヨーク州シラキューズ生まれ。

1981年、19歳の時、『エンドレス・ラブ』で映画デビューを果たし、その後に、ショーン・ペン、ティモシー・ハットン、ジョージ・C・スコットと共演の『タップス』(1981)、フランシス・フォード・コッポラ監督の『アウトサイダー』(1983)に出演。1983年には『卒業白書』の演技により、初めてゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。また、トニー・スコット監督の『トップガン』(1986)に主演し、一躍世界的なスターの座を獲得、この映画は同年の興行成績で第一位の成績となった。

続くマーティン・スコセッシ監督の『ハスラー2』(1986)でポール・ニューマンと共演、また、バリー・レヴィンソン監督のオスカー受賞作『レインマン』(1988)ではダスティン・ホフマンと共演した。1989年にはオリバー・ストーン監督の『7月4日に生まれて』で、ベトナム帰還兵で反戦活動家のロン・コヴィック役に扮し、初めてアカデミー賞にノミネートされたほか、ゴールデン・グローブ賞の最優秀男優賞を受けた。また、ジャック・ニコルソン、デミ・ムーアと共演したロブ・ライナー監督の『ア・フュー・グッドメン』(1992)では、3度目のゴールデン・グローブ賞候補にあがった。そして、『ミッション:インポッシブル』(1996)では、まさにはまり役といえる“イーサン・ハント”役を演じ世界中で大ヒット、2000年に公開された『M:i-2』と合わせて、2作品で全世界で10億ドルを超える興行成績を記録した。

1996年には、キャメロン・クロウ監督の『ザ・エージェント』で2度目のアカデミー賞候補となり、ゴールデン・グローブ賞の最優秀男優賞を受けた。この役では、MTVムービー・アワードの最優秀男優賞も受賞した。1999年、ポール・トーマス・アンダーソン監督のアンサンブル・ドラマ、『マグノリア』で見せたパワフルな演技を絶賛され、ナショナル・ボード・オブ・レビューよりアンサンブルキャストとしての最優秀演技賞を受けたほか、3度目のアカデミー賞に助演男優賞でノミネート、および、3度目となるゴールデン・グローブ賞を最優秀助演男優賞で受賞した。同年、スタンリー・キューブリック監督の遺作『アイズ ワイド シャット』(1999)にも主演した。

2002年、スティーブン・スピルバーグ監督の未来派スリラー、『マイノリティ・リポート』に主演、作品は、全世界で3億5,800万ドルをあげた。2003年には、日本の武士道を描いた「ラスト サムライ」が、全世界で4億5,000万ドル以上の成績を収め、日本で公開されたトム・クルーズ作品で最大のヒット作品となった。

そして、昨年の最新作『宇宙戦争』では、スピルバーグと再び組み、アメリカでのクルーズにとって最高のオープニング成績、一日の最高成績、最高のウィークエンド成績をあげ、自身の新しいキャリアの記録更新と併せて、パラマウント映画にも新記録をもたらした。この映画は、全世界で5億9,100万ドルの興行収入をあげ、クルーズの25年のキャリア中、最大のヒットとなった。

その他の出演映画には、ロン・ハワード監督の『遙かなる大地へ』(1992)、シドニー・ポラック監督の法廷スリラー、『ザ・ファーム/法律事務所』(1993)、ニール・ジョーダン監督、アン・ライスのベストセラー小説の映画化『インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア』(1994)、高い評価を受けたマイケル・マン監督の『コラテラル』(2004)などがある。

1993年にパートナーのポーラ・ワグナーとクルーズ/ワグナー・プロ(C/W)を設立し、プロデューサーとして幅広い役割を果たし、新人からベテラン俳優まで幅広く扱う、多様なプロジェクトの映画化を手がけている。C/W社の第一作となったのは、世界的にヒットした『ミッション:インポッシブル』(1996)で、1997年には、C/Wはノヴァ・アワードの劇場映画における新人プロデューサー賞を受けた。同社は 、『アザーズ』(2001)、『NARC/ナーク』(2002)、『ニュースの天才』(2003)を製作。『アザーズ』は初めてアレハンドロ・アメナーバル監督と組んだ作品で、同監督の『オープン・ユア・アイズ』は、C/Wプロが手がけ、キャメロン・クロウ監督の『バニラ・スカイ』(2001)のベースとなった。2004年1月、デイリー・ヴァラエティは、クルーズ、ワグナーのプロデュース・チームに“ビリオン・ダラー・プロデューサー”としての栄誉を与えた。また最近では、彼らは、UCLA/プロデューサー・ギルド・オブ・アメリカ・ヴィジョン・アワードを受けた。最近作は、キャメロン・クロウの『エリザベスタウン』(2005)を製作している。

映画界における役者としての高い評価、ビジネス面での実績、全世界のファンからの幅広い支持を反映した結果として、トム・クルーズは多数の賞を受けている。今までの出演作で、自身のみならず、共演したキャストとスタッフが受けた賞を数えると、アカデミー賞は9回の受賞と53回のノミネート、ゴールデン・グローブ賞は9回の受賞と38回のノミネートにのぼる。

シカゴ映画祭では、1993年に“アクター・オブ・ザ・ディケイド”を受賞し、同年、NATO/SHOWESTのメリトリアス・アチーブメント・アワードを受けた。『ザ・エージェント』(1996)と『マグノリア』(1999)では、ピープルズ・チョイス・アワードを2度受賞したほか、スクリーン・アクターズ・ギルドのノミネーションも2度受けた。また『マグノリア』(1999)では、シカゴ映画批評家賞とブロックバスター賞、『M:i-2』(2000)ではMTVアワード、『バニラ・スカイ』(2001)ではサターン・アワードを受けた。2005年4月、デヴィッド・ディ・ドナテロ・アワードの功労賞も受賞。去年の11月、クルーズはブリティッシュ・アカデミー・オブ・フィルム&テレビジョン・アーツより、映画での優秀さを認めるスタンリー・キューブリック・ブリタニア・アワードを受けた。また、MTVムービー・アワードの最優秀男優賞を3回受賞し、何度もノミネートされていることから、“MTVジェネレーション” ─ 30年にわたる期間 ─ の俳優として、彼の作品を祝したMTVジェネレーション・アワードを受けた。

さらに、ハーバード・ヘイスティ・プディング・マン・オブ・ザ・イヤー・アワードや、アーティスツ・ライツ基金のジョン・ヒューストン・アワード、ジ・アメリカン・シネマテク・アワード・フォア・ディスティングィッシュト・アチーブメント・イン・フィルムにいたるまで、広範囲におよぶ受賞歴がある。


<トム・クルーズ・フィルモグラフィ>

      俳優                   プロデューサー

2006  M:I:III               2006  M:I:III
2005  宇宙戦争             2005  エリザベスタウン
2004  コラテラル            2003  ラスト サムライ
2003  ラスト・サムライ         2003  ニュースの天才
2002  マイノリティ・リポート      2002  Narc ナーク
2001  バニラ・スカイ          2001  バニラ・スカイ
2000  M:I-2              2001  アザーズ
1999  マグノリア            2000  M:I-2
1999  アイズ ワイド シャット     1998  ラスト・リミッツ 栄光なきアスリート<TVM>
1996  ザ・エージェント         1996  ミッション:インポッシブル
1996  ミッション:インポッシブル
1994  インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア
1993  ザ・ファーム/法律事務所
1992  ア・フュー・グッドメン
1992  遥かなる大地へ
1990  デイズ・オブ・サンダー
1989  7月4日に生まれて
1988  レインマン
1988  カクテル
1986  ハスラー2
1986  トップガン
1985  レジェンド/光と闇の伝説
1983  栄光の彼方に<未>
1983  卒業白書
1983  爆笑!? 恋のABC体験<未>
1983  アウトサイダー
1981  タップス
1981  エンドレス・ラブ

〈※年数は製作年度〉



■フィリップ・シーモア・ホフマン(オーウェン・デイヴィアン)

1967年、ニューヨーク州フェアポート生まれ。

高校時代に演技に目覚め、ニューヨーク大学に進学、演劇を専攻する。卒業後『トリプル・ボギー』(1991)の端役で映画デビュー。翌年にはダイアン・レイン主演のコメディ『マイ・ニュー・ガン/あぶない若妻』(1992/未)でメジャー作品への出演を果たす。その個性的なキャラクターは早くから注目を集め、高い演技力で数々の映画賞も獲得する。1998年にはインディペンデント・スピリット・アワードの最優秀助演男優賞にノミネートされた『ハピネス』、1999年にはロンドン映画批評家協会および全米俳優協会の最優秀男優賞にノミネートされた『フローレス』、トム・クルーズとの初共演となった同年の『マグノリア』ではナショナル・ボード・オブ・レビューの最優秀助演男優賞と全米俳優協会のアンサンブル・キャスト賞にノミネートされた。さらに『リプリー』(1999)でもナショナル・ボード・オブ・レビューの最優秀助演男優賞を受賞した。そして昨年は、製作総指揮も手がけた『カポーティ』(2005)に主演。その演技はセンセーションを呼び、この映画で18の批評家協会から最優秀男優に選ばれたほか、ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門の最優秀男優賞、全米俳優協会賞も受賞し、第78回アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝いたことは記憶に新しい。

その他の出演作には、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992)、『ノーバディーズ・フール』(1994)、『ツイスター』(1996)、『ブギーナイツ』(1997)、『パッチ・アダムス』、『ビッグ・リボウスキ』(1998)、『あの頃ペニー・レインと』(2000)、『レッド・ドラゴン』、『パンチドランク・ラブ』、『25時』(2002)、『コールド マウンテン』(2003)などがある。また、TVでは第57回エミー賞にHBOの“Empire Falls”で、ポール・ニューマン、ジョアン・ウッドワード、ロビン・ライトらと共にノミネートされた。ラビリンス・シアター・カンパニー(LAB)のメンバーであり、共同の芸術演出家でもある。



■ヴィング・レイムス(ルーサー)

1959年、ニューヨーク市生まれ。 ハーレムで育ち、ニューヨーク・ハイスクール・オブ・パフォーミング・アーツに入学、そこで演技に目覚めた。ジュリアード・スクール・オブ・ドラマに学び、ニューヨークの舞台で俳優としての道を踏み出した。1984年、ブロードウェイの“The Winter Boys”に出演。その後、TVのソープ・オペラを経て、その名は着実に多方面に広がる。一躍注目を集めたのは、クェンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』(1994)。ここで演じたマルセラス役により、ポップ・カルチャー史に名を残す存在となる。そして、1996年には『ミッション:インポッシブル』に出演、あらゆるメカを使いこなすルーサー役を演じたこの映画は世界中で大ヒットとなり、ヴィング自身もハリウッドから一層注目を集めることになる。同年の『ローズウッド』(未)でイメージ・アワードの最優秀男優賞を獲得、『素顔のままで』(1996)、『コン・エアー』(1997)、『アウト・オブ・サイト』(1998)などを経て、キャサリン・ゼタ=ジョーンズとショーン・コネリー共演の『エントラップメント』(1999)では、ブロックバスター・エンターテインメント・アワードの助演男優賞にノミネート、同年のマーティン・スコセッシ監督の『救命士』では、ニコラス・ケイジと共演、ゴールデン・サテライト・アワードの助演男優賞を受けた。そして2000年には『M:i-2』。シリーズでただ一人連続出演を果たし、トム・クルーズに次ぐ、このヒット・シリーズの“顔”となる。さらに『サウスセントラルLA』(2001/未)、『ダーク・スティール』(2002/未)などに続き2004年には『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004)で主演を努めた。

TVでも幅広く活躍し、「リングサイドの帝王/ドン・キング・ストーリー」(1997)のドン・キング役を演じ、この作品はエミー賞を受賞し、ゴールデン・グローブ賞のTVムービー賞にノミネートされた。その他では、製作総指揮も兼ねた「刑事コジャック」シリーズで主演を努めた他、「父と罪 重き告発」(2002)ではイメージ・アワードの主演男優賞にノミネートされた。同年の「RFK/もうひとりのケネディ」(2002)などの社会派ドラマを経て、TVシリーズの“UC:Undercover”では、2度目のイメージ・アワードを受賞。また、ドキュメンタリー番組の“Robert F. Kennedy:A Memoir”では、ナレーターをつとめた。声優としても、コンピュータ・アニメの『ファイナルファンタジー』(2001)、『リロ&スティッチ』(2002)などで活躍し、若い世代のファンも獲得している。



■ビリー・クラダップ(マスグレイブ)

1968年、ニューヨーク州マンハセット生まれ。

バリー・レヴィンソン監督、ロバート・デ・ニーロ、ブラッド・ピット、ジェイソン・パトリック共演の『スリーパーズ』(1996)で映画デビューを果たし、日本未公開の“Jesus' Son”ではサマンサ・モートン、ホリー・ハンター、デニス・リアリーと共演し、パリ映画祭で最優秀男優賞を獲得、インディペンデント・スピリット・アワードにノミネートされた。

その後『世界中がアイ・ラブ・ユー』(1996)、『秘密の絆』(1997)、『ウェイキング・デッド』(2000)などを経て、2000年にはキャメロン・クロウ監督作品『あの頃ペニー・レインと』に主演、この作品はアカデミー賞脚本賞をはじめ、多数の賞に輝いた。『シャーロット・グレイ』(2001)、『ビッグ・フィッシュ』(2003)などを経て、最新作はジュリアン・ムーア共演、本年公開の“Trust the Man”である。

演劇界でも幅広く活躍し、ブロードウェイ・デビューの「アルカディア」ではアウター・クリティックス・サークル・アワードの新人賞、シアター・ワールド・アワードなど数々の賞を受賞した後、ランダバウト・シアター作品の「スリー・シスターズ」では、ドラマ・デスク・アワードにノミネートされた。この他にフランシス・マクドーマンドと共演の「オイディプース」、ニューヨーク・シェイクスピア・フェスティバル作品の「尺には尺を」、アル・パチーノ、スティーブ・ブシェミと共演したオフ・ブロードウェイの「ザ・レジスティブル・ライズ・オブ・アルトゥロ・ウイ」を経て、ロイヤル・シアターの「ジ・エレファント・マン」でトニー賞の最優秀主演男優賞にノミネートされた。昨年はブロードウェイの「ザ・ピローマン」で、再びトニー賞にノミネートされた。

TVでも「ラスト・リミッツ 栄光なきアスリート」(1998)では伝説的な長距離ランナー、スティーブン・プレフォンテーンを演じ、人気を博している。



■ミシェル・モナハン(ジュリア)



1976年、アイオワ州生まれ。

マイケル・ライマー監督の『PERFUME パフューム』(2001/未)で映画デビューを果たした。次くエイドリアン・ライン監督の『運命の女』(2002)でリチャード・ギアの秘書を演じた後、フレッド・スケピシ監督の『グロムバーグ家の人々』(2003)ではカーク・ダグラスをはじめとするダグラス・ファミリーと共演した。動も静もこなすことの出来る確かな演技力で各方面から注目を集め、2005年には『Mr.& Mrs.スミス』でテクノロジーに精通したコンピューター専門家、ヒロインに抜擢されカンヌ映画祭でプレミア上映された『キスキス,バンバン』、シャリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、シシー・スペイセク共演の『スタンドアップ』に連続出演。次回作はベン・アフレックが監督を務める“Gone Baby Gone”。









■ジョナサン・リース=マイヤーズ(デクラン)

1977年、アイルランド、ダブリン生まれ。

スクリーン・デビューは1994年のアイルランド&イギリス合作の『マン・オブ・ノー・インポータンス』(未)、その後、若き暗殺者を演じたニール・ジョーダンの伝記物『マイケル・コリンズ』(1996)、『ザ・メイカー』、『17 セブンティーン』(1997)、ミニー・ドライバーと共演の『視姦』、スリラーの『Bモンキー』(1998)、マイク・フィギスの『セクシュアル・イノセンス』(1998)、などを経てトッド・ヘインズ監督の『ベルベット・ゴールドマイン』(1998)で一躍注目を集める。ユアン・マクレガー、クリスチャン・ベール、トニ・コレットらと共演したこの作品では、落ちぶれたロッカーを演じ、その大胆な演技でロンドン映画批評家協会賞を受賞した。以降、時代の先端を走るさまざまな俳優や監督を相手に、数々の映画に出演、ハリウッドで今最もホットな俳優の一人となった。

その後、アン・リーのウエスタン『楽園をください』(1999)、アンソニー・ホプキンス、ジェシカ・ラングと共演した『タイタス』(1999)、クリスティナ・リッチと共演の『私は「うつ依存症」の女』(2001)に出演。続く女子サッカーのコーチ役を演じた『ベッカムに恋して』(2002)ではキーラ・ナイトレイ、パーミンダ・ナーグラと共演、興行成績もクリーン・ヒットとなった。

その後、『テッセラクト』(2003)、2004年にはクライブ・オーウェン、シャーロット・ランプリングと共演の『ブラザー・ハート』(未)、オリヴァー・ストーン監督、コリン・ファレル、アンジェリーナ・ジョリー共演の『アレキサンダー』(2004)、リース・ウイザースプーン共演の『悪女』などに出演。

最近作は、ウディ・アレンのカムバック作と呼び声の高い“Match Point”(2005)である。この映画は作品賞を含む3部門でゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、同年のカンヌ映画祭で初上映された。彼は今年最高のパフォーマンスを披露したとして絶賛され、チョパード・トロフィーの新人男優賞を受賞した。

今年2月にクランク・インした新作“August Rush”では、ケリー・ラッセル、ロビン・ウィリアムズと共演している。ミュージカルの神童である孤児が、その天賦の才を使って両親であるリース=マイヤーズとラッセルを捜しだすストーリーで、『イン・アメリカ』の脚本家キルステン・シェリダンが監督する。

TVでは、アメリカとイギリスを股にかけ、幅広いジャンルの番組に出演。「ゴーメンガースト」(2000)、パトリック・スチュワート、グレン・クロースと共演した「THE LION IN WINTER 冬のライオン」(2003)などがある。本年には、ミニ・シリーズ「エルヴィス」で若い頃のエルヴィス・プレスリーを演じ、ゴールデン・グローブ賞のミニ・シリーズ作品賞門で主演男優賞を受賞、またこの役で、エミー賞にもノミネートされた。



■ケリー・ラッセル(リンジー)

1976年カリフォルニア州ファウンテンバレー生まれ。

映画出演作には、『ジャイアント・ベビー』(1993)、『エリカにタッチダウン』(1997/未)、『デッドマンズ・カーブ』(1998)、『マンボ!マンボ!マンボ!』(2000)、『ワンス・アンド・フォーエバー』(2002)、『ママが泣いた日』(2005)、などがあるが、その存在を一躍有名にしたのはヒットTVシリーズ「フェリシティの青春」(1998〜2002)。ブライアン・グレイザーやロン・ハワードと並んでJ.J.エイブラムスが製作総指揮を務めたこのシリーズで大ブレイクし、初放映のわずか4ヵ月後に、ゴールデン・グローブ賞のドラマ・シリーズの主演女優賞を受賞した。

近作は、エイドリアン・シェリー監督のロマンティック・コメディ“Waitress”、 心理スリラーの“Rohtenburg”、ロビン・ウィリアムズ共演の“August Rush”と数多くの作品を抱える注目の存在である。

また、最近のTVでは、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮をつとめた6部構成のミニ・シリーズ「ザ・マジック・オブ・オーディナリー・デイズ」に出演し、好評を博した。

昨年はニューヨークの舞台でもデビュー。オフ・ブロードウェイ作品「ファット・ピッグ」で元恋人に対して復讐心に燃える女性を演じ、注目される。

また、アメリカで売り上げナンバー・ワンの化粧品メーカー、カバーガール社の一番新しいモデルに決定した。同社の広告は今年の夏後半にスタートする。



■マギー・Q(ゼーン)

1979年ハワイ生まれ。

アメリカ人の父とベトナム人の母の間に生まれ、モデルを志し18歳で香港に移住する。その後アジア各国でスーパーモデルとして活躍するようになり、タイム、ハーパーズ・バザー、コスモポリタン、マダム・フィガロ、マリ・クレールなどのアジア版を含む100冊以上の雑誌の表紙を飾った。

女優としての活動は、1999年の台湾のTVドラマ、「ハウス・オブ・ドラゴン」でスタート、この番組をきっかけに長編映画に進出した。スクリーン・デビューは同年の香港映画“Model From Hell”にて。翌年には、ジャッキー・チェン製作の『ジェネックスコップ2』(2000)に出演、この映画でマギーの演技に強い印象を受けたジャッキーは、“Manhattan Midnight”にマギーを起用、ハリウッド・デビューとなった『ラッシュアワー2』(2001)にも出演した。その後、『レディ・ウェポン』(2002)、『マジック・キッチン』(2004)などの香港映画に出演する傍ら、イタリア映画“The Counting House”や、ドイツ/シンガポール合作の2部構成のTVムービーの「ハウス・オブ・ハーモニー」をはじめ数本のヨーロッパ映画にも出演、その活動は広範囲にわたる。

次回作は、闇の卓球の世界を舞台にした、ダン・フォグラー、ジョージ・ロペス、クリストファー・ウォーケン共演のコメディ“Balls of Fury”。来年の公開作品となる。



■ローレンス・フィッシュバーン(ブラッセル)

1961年、ジョージア州オーガスタ生まれ。

10歳のときから演技を始め、ソープ・オペラでデビューしオフ・ブロードウェイを経験。1975年に映画デビューを果たす。わずか15歳にしてフランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』(1979)での若いG.I.役で注目を集め、その後も同監督の『ランブルフィッシュ』(1983)、『コットン・クラブ』(1984)、『友よ、風に抱かれて』(1987)に出演する。

その間、スティーブン・スピルバーグ監督の『カラー・パープル』(1985)、『マイアミ5』(1986)、さらに、『レッドブル』(1988)、『キング・オブ・ニューヨーク』(1990)、『ミリタリー・ブルース』(1990/未)などを経て1991年にはジョン・シングルトン監督の『ボーイズ’ン・ザ・フッド』に出演、NAACPイメージ・アワードの最優秀男優賞を受賞する。

その後『訴訟』(1991)、『ディープ・カバー』(1992)、『ボビー・フィッシャーを探して』(1993)、オスカーの最優秀男優賞にノミネートされた『TINA ティナ』(1993)、『バッド・カンパニー/欲望の危険な罠』(1994/未)、『理由』(1995)、『オセロ』(1995)などを経て『ハイヤー・ラーニング』(1995)では再びジョン・シングルトン監督と組み、強烈な印象を残す。

そして、『F.LED./フレッド』(1996/未)、『奴らに深き眠りを』(1997/未)、『イベント・ホライゾン』(1997)に引き続き、1999年には『マトリックス』に出演。ウォシャウスキー兄弟が監督したこのSF大作は、斬新な映像と多層的なストーリーで世界各地で大ヒット。シリーズ2、3作となる。『マトリックス リローデッド』(2003)、『マトリックス レボリューションズ』(2003)はメガ・ヒットとなり、ローレンス・フィッシュバーンの名前はこのシリーズと共に、世界各地の映画ファンに深く浸透した。

その他の作品に、クリント・イーストウッド監督の『ミスティック・リバー』(2003)、『バイカーボーイズ』(2003/未)、イーサン・ホーク共演の『アサルト13 要塞警察』(2005)などがある他、2000年には自ら執筆した舞台劇を脚色した“Riff Raff”を監督、主演、製作した。

舞台でも幅広く活躍し、1992年のブロードウェイ作品「トゥー・トレインズ・ランニング」ではトニー賞のベスト・フィーチャード・アクター・イン・ア・プレイ、ドラマ・デスク・アワード、アウター・クリティックス・サークル・アワード、シアター・ワールド・アワードを受賞した。

TVでも1993年のフォックスTV「トライベッカ」でエミー賞を受賞した他、HBOの「タスケジー・エアマン」でエミー賞、ゴールデン・グローブ賞、ケーブルエース・アワード、NAACPイメージ・アワードにノミネートされた。また、製作総指揮も兼ねたHBOの「ミス・エヴァーズ・ボーイズ」では、エミー賞のミニ・シリーズ/スペシャルでのアウトスタンディング・リード・アクターにノミネートされた。



■J.J. エイブラムス(監督/共同脚本)

1966年、ニューヨーク生まれ。

ロサンゼルスで育ち、8歳の時、祖父にユニバーサル・スタジオのツアーへ連れられたことがきっかけで、映画への情熱を抱く。その後の10年間に、数々のアマチュア映画を製作し、学生映画の映画祭に出品し数多くの賞を受けた。

映画界へのデビューはまだサラ・ローレンス大学に在学中にシナリオを売った『ファイロファックス/トラブル手帳で大逆転』(1990/未)、大学生にしてハリウッド映画での脚本家デビューとなった。以降、脚本を手がけた映画には『心の旅』(1991)、『フォエヴァー・ヤング/時を越えた告白』(1992)、『アルマゲドン』(1998)、『ロードキラー』(2001)などがある。また、製作者として、『フォエヴァー・ヤング/時を越えた告白』(1992)、『ハッピィブルー』(1996)、『ザ・サバーバンズ』(1999/未)、『ロードキラー』(2001)などがある。

映画界でも十分注目に値する活躍をしながら、J.J.エイブラムスの名をさらに有名にしたのは、TV界での活躍である。製作総指揮と企画を担当した「フェリシティの青春」(1998〜2002)、「エイリアス/2重スパイの女」(2001〜2002)、「エイリアス2」(2002〜2003)、「エイリアス(シーズン3)」(2003〜2004)、「LOST」(2004〜)はいずれも大ヒットし、一大センセーションを巻き起こした。一躍時代の寵児となったエイブラムスは「エイリアス」で2002年のエミー賞のドラマ・シリーズ脚本賞に初めてノミネートされ、「LOST」ではアウトスタンディング・ドラマ・シリーズとアウトスタンディング・ディレクティング・フォア・ドラマ・シリーズの2つのエミー賞に輝いた。

また、『私に近い6人の他人』(1993)、『悪魔のような女』(1996)では俳優としての出演歴もある。



■ポーラ・ワグナー(プロデューサー)

エンターテインメント・ビジネスとの最初の接点は、イエール・レパートリー・シアターやブロードウェイ、オフ・ブロードウェイに舞台女優として出演したことから始まる。その傍ら、劇作家として「アウト・オブ・アワー・ファザーズ・ハウス」を共同執筆する。その後は業界トップのタレント・エージェントとして、CAAで約15年間活躍する。

そのキャリアの転機は1993年に訪れ、トム・クルーズと共にクルーズ/ワグナー・プロダクションを設立、パラマウント映画をベースに活動を開始する。以来、複数の賞を獲得し幅広い批評家からの支持を得る一方で、世界的な興行成績での成功を遂げた多様な作品を製作するという、比類ない成功を手にしている。

『ミッション:インポッシブル』(1996)と『M:i-2』(2000)の成功と、最大のヒット作となった『宇宙戦争』(2005)に加え、『アザーズ』(2001)や『バニラ・スカイ』(2001)、『エリザベスタウン』(2005)、新しい才能の発掘として絶賛された『NARC/ナーク』(2002)、『ニュースの天才』(2003)、さらには日本で記録的なヒットとなった『ラスト サムライ』(2003)、そして最近公開となった“Ask the Dust”などを製作した。

2001年、プレミア誌から、ウイメン・イン・ハリウッド・アイコン・アワードを受け、その翌年には、芸能界のトップの女性をとらえたドキュメンタリー「ウイメン・オン・トップ」で紹介された。2004年、クルーズとワグナーはデイリー・ヴァラエティ誌から“ビリオン・ダラー・プロデューサー”の栄誉を受け、2005年にはハリウッド映画祭の会長を3年連続でつとめた。

アメリカン・シネマテークの取締役会のメンバーおよびカーネギー・メロン大学の評議委員をつとめている他、UCLAのスクール・オブ・シアター・フィルム・アンド・テレビジョンの管理委員会に名を連ねている。さらに、米国議会図書館の全米映画保存協会の委員会メンバーでもある。



■アレックス・カーツマン&ロベルト・オーチー(共同脚本)

高校時代から、脚本家としてコンビを組んで執筆活動を開始、後に「エイリアス」の脚本および製作総指揮者として活躍する。カーツマンとオーチーは高校で知り合い、数々の青春ドラマの脚本を習作する。アドベンチャー・ストーリーを好み、野心的なホーム・ムービーを制作していたこの二人の夢は、いつかハリウッド映画を一緒に作ることであった。高校卒業後、2人は大学進学のため別々の道に進み、カーツマンはニューヨーク大学からコネチカット州のウェスリアン大学へ、オーチーはテキサス大学に学んだ。この間も二人は電話で相談しながら、共同での脚本の執筆を続けた。

卒業後、カーツマンは人気アドベンチャーTV番組、「ハークルズ」と「ゼナ:ウォリアー・プリンセス」でプロダクション・アシスタントとして働き始める。この番組をきっかけに、二人は念願の脚本家への道を歩み始め、数カ月のうちに二人は弱冠23才にして「ハークルズ」のヘッド・ライターとなった。次の作品は、J.J.エイブラムスとチームを組んだ「エイリアス」。脚本と製作総指揮を担当したこの番組はすぐさま何百万人ものアメリカ人視聴者を虜にすると同時に、高い評価を受けエミー賞受賞を果たした。

その後、劇場用映画の脚本家としても活動をはじめ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アントニオ・バンデラス主演の『レジェンド・オブ・ゾロ』(2005)、マイケル・ベイ監督のSFスリラーで、スカーレット・ヨハンソン、ユアン・マクレガー主演の『アイランド』(2005)を担当し、高い評価を得た。

現在二人はドリームワークスSKGとの脚本/製作/監督契約を獲得し、次回作は来年公開のドリームワークス+パラマウント作品、マイケル・ベイ監督の「トランスフォーマーズ」で、1980年代のクラシック・カトゥーンとトイ・シリーズに基づくストーリーを執筆中である。



■ストラットン・レオポルド(製作総指揮)

アメリカをはじめとしてイギリス、スペイン、イタリア、中央アメリカ、フィリピン、オーストラリア、カナダ、中国など世界各地での撮影経験を持つ。製作総指揮、共同プロデューサー、あるいはプロダクション・マネージャーとして『モスキート・コースト』(1986)、『バロン』、『デッドフォール』(1989)、『ボーン・イエスタデイ』、『ブラッド・イン ブラッド・アウト』(1993)、『ザ・ビッグ・ワン』(1997/未)、『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』(1999)、『ブレス・ザ・チャイルド』(2000)、『トータル・フィアーズ』(2002)、『ペイチェック/消された記憶』(2003)など15本以上を手がけた。


■ダン・ミンデル(撮影)

南アフリカで生まれ、オーストラリアとイギリスで育つ。コマーシャルの撮影をするシネマトグラファーとしてキャリアをスタート。リドリー・スコット、バリー・キンズマン、ヒュー・ジョンソン、マイク・セレシンなど著名な監督とコンビを組む。

撮影監督を務めた映画作品には、『エネミー・オブ・アメリカ』(1998)、『シャンハイ・ヌーン』(2000)、『ふたりにクギづけ』(2003)、『ドミノ』(2005)、『スケルトン・キー』(2005/未)などがある。

また、『G.I.ジェーン』(1997)では西海岸ユニットの撮影責任者を務めたほか、トニー・スコット監督の『ザ・ファン』(1996)、『ボーン・アイデンティティ』(2002)では、B班のカメラマンを担当したというキャリアを持つ。



■スコット・チャンブリス(プロダクション・デザイナー)

「エニシング・ゴーズ」や「マクベス」、「グランド・ホテル」など多数のブロードウェイ作品のアソシエイト・デザイナーとしてキャリアをスタートさせた後、映画では美術監督として『マルコムX』(1992)、『奇跡を呼ぶ男』(1992/未)、『マンボ・キングス/我が心のマリア』(1992)を担当、プロダクション・デザイナーとして『バンク・ラバー』(1993/未)、『からみつく愛欲の罠』(1993/未)、『ブロンクス・ストリート』(1994/未)、『セルロイド・クローゼット』(1995)、『ドクター・ジャガバンドー』(1997/未)に参加した。

J.J.エイブラムス監督とは、大ヒットTVシリーズ「フェリシティの青春」「エイリアス」でコンビを組み、本作への参加となった。現在ニューヨーク及びロサンゼルスの映画、TV、舞台作品と幅広い分野でデザインを手がけている。



■マリアン・ブランドン,A.C.E.(編集)

J.J.エイブラムスとは「エイリアス」に参加し、この作品でエミー賞のアウトスタンディング・シングル・カメラ・ピクチャー・エディティング・フォア・ア・ドラマ・シリーズにノミネートされた。

映画では、アシスタント・エディターとして『ブラック・ウィドー』(1986)、『再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ』(1988)に参加。その後、『ハード・ラン/栄光への疾走』(1989/未)、『ラブリー・オールドメン/釣り大将 LOVE LOVE日記』(1995/未)、『ケイティ』(1995)の編集を手がけた。

その他のTV作品には、「チャイルド・スター:ザ・シャーリー・テンプル・ストーリー」、「ザ・ミラクル・ワーカー」、「グレイプヴァイン」などがある。



■メアリー・ジョー・マーキー,A.C.E.(編集)

J.J.エイブラムス監督とTVドラマ、「フェリシティの青春」、「エイリアス」、「LOST」に参加、「エイリアス」ではエミー賞にノミネートされた。

また、映画では、『ザ・スタンド』(1991)、『恋のおかたづけしましョ!』(2002/未)などに参加した。



■コリーン・アトウッド(衣装デザイナー)

1982年、衣装アシスタントとしてキャリアをスタート。そのわずか2年後には、マイケル・アプテッド監督の『家族の絆』(1984)で衣装デザイナーとしてデビューを飾る。マイケル・マン監督の『刑事グラハム/凍りついた欲望』(1986)で注目され、その後、マイケル・アプテッド監督の『S.O.S. ドクター・ノー・グッド!』(1986/未)、リドリー・スコット監督の『誰かに見られてる』(1987)を担当した。

ティム・バートン、ジョナサン・デミの両監督作品に数多く参加し、バートン作品では『シザーハンズ』(1990)、『エド・ウッド』(1994)、『マーズ・アタック!』(1996)、『スリーピー・ホロウ』(1999)、『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(2001)、『ビッグ・フィッシュ』(2003)などを担当、デミ作品では『愛されちゃって、マフィア』(1988/未)、『羊たちの沈黙』(1990)、『フィラデルフィア』(1993)などに参加した。

受賞歴も数多く、『シカゴ』(2002)で初めてアカデミー賞を獲得、また『SAYURI』(2005)で2度目のオスカーを手にした。その他にも、『若草物語』(1994)、『愛されし者』(1998/未)、『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』(2004)の各作品でオスカー候補となった。

その他の作品に、『侍女の物語』(1990)、『ジョー、満月の島へ行く』(1990/未)『ロレンツォのオイル/命の詩』(1992)、『フィラデルフィア』、『ボーン・イエスタデイ』(1993)、『ワイアット・アープ』(1994)、『すべてをあなたに』、『陪審員』(1996)、『ガタカ』(1997)、『ザ・メキシカン』(2001)などがある。



■マイケル・ジアッキノ(音楽)

子供の頃から映画好きで、ニューヨークのスクール・オブ・ヴィジュアル・アーツ(SVA)に学び、映画製作を専攻した。卒業後、リンカーン・センターのジュリアード・スクールで作曲の研究を始める一方、昼間はユニバーサルとディズニーのニューヨーク支社で宣伝の仕事を手がけた。2年後、ロサンゼルスのディズニー・スタジオへと移り、UCLAの映画音楽プログラムを受講した。

1997年、ドリームワークスから、スティーブン・スピルバーグ監督の大ヒット作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』のPSゲーム版の音楽製作を依頼され、作曲家としてのキャリアをスタートさせる。

その後、ドリームワークス・インタラクティブで、スピルバーグ監督が製作に携わり、大ヒットした「メダル・オブ・オーナー」シリーズ等に多くのオーケストラ曲を提供した。こうしたゲーム音楽をきっかけとして、「エイリアス」に参加、エイブラムスと知り合い、続いて「LOST」も手がけた。さらにピクサー作品の『Mr.インクレディブル』(2004)を担当することになった。

2001年、彼が手がけたドリームワークス・インタラクティブ・ゲーム、「メダル・オブ・オーナー・アンダーグラウンド」の音楽が、アカデミー・オブ・インタラクティブ・アーツ&サイエンス・アワード・フォア・ベスト・オリジナル・スコア賞を受賞した。



■ヴィック・アームストロング(第2班監督/スタント・コーディネーター)

1946年イギリス、イングランド生まれ。

第一線のスタントマンの一人として、1960〜1980年代に映画を中心に活躍した後、スタント・コーディネーターに転身し、世界中の映画で活躍。彼が携わったハリウッド映画には『うたかたの恋』(1969)、『ライアンの娘』(1970)、『遠すぎた橋』(1977)、『スーパーマン』(1978)、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)、『スーパーマン/冒険篇』(1981)、『ハロウィン1988・地獄のロック&ローラー』(1986)などがある。

平行して、アメリカのみならずヨーロッパ映画でも活躍。主な作品には『オーロラ殺人事件』(1979)、『オフサイド7』(1979)、『呪われた森』(1980)、『オーメン/最後の闘争』(1981)、『コナン・ザ・グレート』(1982)、『砂の惑星』(1984)、『ミッション』(1986)、『ランボー3/怒りのアフガン』(1988)、『トータル・リコール』(1990)、『ロビン・フッド』(1991)、『ターミネーター2』(1991)、『ユニバーサル・ソルジャー』(1992)、『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993)、『カットスロート・アイランド』(1995)、『ザ・ターゲット』(1996)、『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)、『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997)、『アべンジャーズ』(1998)、『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(1999)、『エントラップメント』(1999)などがある。

最近作には、『クイルズ』、『チャーリーズ・エンジェル』(2000)、『コレリ大尉のマンドリン』、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2001)、『サハラに舞う羽根』(2002)、『宇宙戦争』(2005)などがある。

また監督業もこなし、手がけた作品には、“Double Impact”、『バニシング・レッド』(1992)のほか、TVシリーズの「インディ・ジョーンズ 若き日の大冒険」(1992)がある。

なお、2001年には映画芸術科学アカデミーからのサイエンティフィク・アンド・テクニカル・アカデミー・アワードを受賞している他、2002年には英国アカデミーによるマイケル・バルコン・アワードのアウトスタンディング・ブリティッシュ・コントリビューション・トゥ・シネマにも輝いた。



■ロジャー・ガイエット(視覚効果スーパーバイザー)

映画史上初めて、フル3Dデジタルの主人公が主演をつとめた『キャスパー』(1995)で、40分以上におよぶ3Dキャラクター・アニメーションを作成したクルーの主要メンバーとなって以来、インダストリアル・ライト&マジック社に在籍する。

現在は、ILMの視覚効果スーパーバイザーの指導者の一人であり、最新作には視覚効果スーパーバイザーをつとめた『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005)がある。

担当作品には、英国アカデミーの最優秀特殊効果を獲得した『プライベート・ライアン』(1998)、『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)などがある。『ハリー・ポッター』シリーズの最新版で、ガイエットは米英のアカデミー賞のノミネートを受け、ヴィジュアル・エフェクト・ソサエティから賞を受けた。



■ダン・スディック(特殊効果コーディネーター)

『マスター・アンド・コマンダー』(2003)で、米英のアカデミー賞の最優秀視覚効果賞にノミネートされる。 最近では、世界的な大ヒットとなった『宇宙戦争』(2005)で特殊効果コーディネーターをつとめ、2度目のアカデミー賞候補になった。

担当した作品には、『エグゼクティブ・デシジョン』(1996)、『交渉人』(1998)、『ナッティ・プロフェッサー2/クランプ家の面々』(2000)、『コーリング』(2002)、『ホーンテッドマンション』、『ナショナル・セキュリティ』(2003)、『セルラー』(20               04)などがある。